運用・保守ベンダー切り替えで実現、属人化しないSalesforce運用
– 担当者変更に左右されない安定運用体制の構築 –
大手広告メディア事業者様の事例

企業様の業種・事業内容
大手広告メディア事業者 様
従業員数
1,000名規模
ご利用製品
Salesforce Platform(Apex / Visualforce)
本記事で紹介するのは、1,000名規模の社員を擁する大手広告メディア事業者様における、Salesforce運用・保守ベンダー切り替えの事例です。
同社では人事評価システムとしてSalesforceを導入し、業務効率化や情報共有の面で一定の成果を上げていました。一方で、運用・保守フェーズに移行する中で、ベンダー側の担当者変更が重なり、システム品質や安定性に課題が顕在化していきます。
ブラックボックス化したシステムと、属人化した運用体制。
こうした状況を前提に、同社は「作り直す」のではなく、「止めずに立て直す」選択を行いました。
運用・保守を起点に体制を再構築し、担当者変更に左右されない安定運用を実現した取り組みをご紹介します。
【Salesforce導入当初の背景】人事評価業務の効率化と情報共有を目的に導入
同社では、全社員1,000名以上に及ぶ人事評価業務を、長らくExcelを中心とした運用で行っていました。
評価シートの配布・回収・集計を人事部門や各上長が個別に対応する必要があり、評価期間中は多くの工数と確認作業が発生していたといいます。
こうした状況を改善するため、同社は人事評価業務の効率化と情報共有の高度化を目的に、Salesforce Platformの導入を決定しました。
Salesforceが持つ高い情報共有能力とセキュリティを活かし、社内の人事評価システムをSalesforce上に構築する方針を採りました。
システム構築にあたっては、単に標準機能を利用するのではなく、Apex/Visualforceを活用したリッチなUIを採用。
従来のExcel運用と同等の入力しやすさを担保しつつ、評価情報をリアルタイムで共有・管理できる環境を整えました。
導入後は、評価データの集計や確認にかかる工数が削減され、
人事部門だけでなく、現場の上長にとっても業務負荷の軽減につながっていました。
Salesforceは人事評価業務を支える基盤として、一定の成果を上げていたといいます。
【運用開始後に直面した課題】品質低下とコストへの疑念
人事評価システムは、Salesforce導入当初の狙いどおり、業務効率化と情報共有の面で一定の成果を上げていました。
しかし、運用保守フェーズへ移行した後、システムを取り巻く状況は徐々に変化していきます。
安定して稼働していたはずのシステムで、障害やトラブルが散発するようになり、現場では少しずつ違和感が生まれていきました。
担当者変更のたびに発生する障害と、運用品質の低下
運用保守フェーズに入ったタイミングで、開発ベンダー側の担当者が変更となりました。
その後、新しい担当者のシステム理解不足や引き継ぎの不十分さを背景に、システム障害や不具合が発生するようになります。
一度きりの問題であれば大きな課題にはなりませんでしたが、その後もベンダー側の都合により担当者変更が繰り返され、そのたびに同様のトラブルが発生しました。障害対応や修正のたびに説明や確認が必要となり、現場や人事部門の負担は次第に増していきました。
こうした状況が続く中で、同社では
「システムを理解している担当者がいないのではないか」
「引き継ぎが十分に行われていないのではないか」
といった不安が募っていったといいます。
品質悪化の一方で、運用保守費用は高止まり
もう一つ大きな課題となったのが、品質とコストのバランスでした。
障害や要件の認識齟齬が増え、対応品質への不満が高まる一方で、運用保守費用は構築時と同水準のまま維持されていました。
運用フェーズにおいても構築時と同じ時間単価が適用されており、
「現在の支援内容に対して、このコストは本当に妥当なのか」
という疑問の声が、社内で徐々に上がり始めます。
特に人事評価という業務特性上、トラブルは評価期間に集中しやすく、影響範囲も大きくなりがちです。
そのため、安定運用に対する不安と、コストへの納得感の低下が同時に進行していきました。
「このまま任せ続けてよいのか」という根本的な問い
障害対応そのものは都度行われていたものの、根本的な改善や再発防止につながっている実感は得られませんでした。
担当者が変わるたびに同じ説明を繰り返し、同様のトラブルが起きる――。
こうした状況が続いたことで、同社では次第に「場当たり的な対応」に限界を感じるようになっていきます。
その結果、
「このまま同じベンダーに運用保守を任せ続けてよいのか」
という、より根本的な問いが社内で共有されるようになりました。
品質・体制・コストのいずれの観点から見ても、現状を見直す必要性は明らかでした。
そのため同社では、運用保守ベンダーの切り替えを含めた検討に踏み出すことになります。
しかし、検討を進める中で、単純にベンダーを変更すれば解決する問題ではないという現実が、次第に明らかになっていきました。
【ベンダー切り替えの検討】ブラックボックス化した環境と判断の難しさ
運用保守ベンダーの切り替えを検討し始めた同社でしたが、すぐに別のパートナーへ移行できる状況ではありませんでした。
Salesforce上に構築された人事評価システムは、導入当初の目的を十分に果たしていた一方で、運用の過程で内部構造がブラックボックス化しており、引き継ぎそのものが大きなハードルとなっていたのです。
開発ドキュメント不在により、システム仕様が把握できない状態に
ベンダー切り替え検討において、最初に大きな壁となったのが、開発当時のドキュメントが一切残っていなかった点です。
要件定義書や基本設計書といった資料が納品されておらず、システムが「どのような要件で」「どのような設計思想で」構築されたのかを、正確に把握できる人が社内外に存在しない状態でした。
そのため、機能追加や改修を検討する際にも、どこにどのような影響が出るのかを事前に判断することが難しく、運用保守を引き継ぐ側のベンダーにとっても、リスクの高い案件として映ってしまっていました。
Apex/Visualforce中心の構成が、引き継ぎの難易度をさらに高めていた
加えて、人事評価システムはSalesforce標準機能を最小限にとどめ、Apex/Visualforceを最大限に活用したカスタム構成となっていました。
Excel運用と同等の入力性を実現するという目的においては有効な選択だった一方で、構成の理解には高度な技術力と調査工数が求められます。
この点が、ベンダー切り替え検討をさらに難しくしていました。
引き継ぎを前提とした相談を行っても、対応を断られるケースや、まずは現行システムの解析が必要として、高額な初期調査費用を提示されるケースが相次いだのです。
「作り直す」ではなく、「止めずに引き継ぐ」ための判断軸
こうした状況を踏まえ、同社では単に運用保守費用の見直しや、別ベンダーへの切り替えを目的とするのではなく、
ブラックボックス化した現行環境をどのように引き継ぎ、安定運用へと立て直すかという観点で、判断軸を整理していきました。
重視したのは、新規構築を前提とせず、現行環境を尊重したうえで、
- 既存システムを解析し、仕様を可視化できること
- 日常業務や障害対応を止めることなく、段階的に引き継ぎを進められること
- 高度にカスタマイズされたApex/Visualforce領域まで含めて対応できること
- 運用フェーズに見合った、納得感のあるコスト設計が可能であること
といった点でした。
「作り直すのではなく、止めずに引き継ぐ」。
この現実的な方針を前提に、同社は改めてパートナー選定を進めていくことになります。
【クオンツを選んだ理由】引き継ぎ困難な環境でも、現実的な道筋を示した
複数のベンダーを比較・検討する中で、同社が重視したのは、Salesforceの技術力そのものよりも、
ブラックボックス化した既存環境を前提に、どのように引き継ぎ、安定運用へと導くのかという点でした。
「作り直す」のではなく、「止めずに引き継ぐ」。
その方針を具体的な進め方として示していたことが、クオンツを選定する決め手となりました。
現行環境を前提に、解析から引き継ぐ技術力
クオンツは、要件定義書や設計書が残っていない状況を前提に、
現行のSalesforce環境そのものを解析しながら仕様を把握していくというアプローチを提示しました。
設定内容だけでなく、Apex/Visualforceで実装されたカスタムロジックについても、実際のコードを確認しながら理解を進めていく姿勢を明確にしていました。
これまで積み上げてきた設計や運用を否定することなく、背景や意図をくみ取りながら引き継ぐ進め方は、
「これまでの投資が無駄になるのではないか」という同社の不安を和らげる要因となったといいます。
業務を止めずに引き継ぐ、段階的な進め方
人事評価という業務特性上、評価期間中にシステムを止めることはできません。
クオンツはその点を踏まえ、日常の運用・保守を継続しながら、
- 現行環境の解析と可視化
- 障害や問い合わせ対応を並行して実施
- 優先度の高い課題から段階的に改善
といったステップで引き継ぎを進める計画を示しました。
大きな変更を一度に行うのではなく、影響範囲を見極めながら改善を積み重ねていく進め方は、業務への影響を最小限に抑えたい同社の要望と合致していました。
運用フェーズに即した、納得感のあるコスト設計
運用保守ベンダーの切り替えにあたり、同社が課題としていたのが、コストの妥当性でした。
クオンツは、構築時と同じ単価を前提とするのではなく、運用・保守フェーズの実態に合わせた工数設計を行い、支援内容と費用の関係を明確に提示しました。
その結果、どの作業にどれだけの工数がかかっているのかが可視化され、社内での説明や合意形成も進めやすくなりました。
品質とコストのバランスに対する納得感が高まり、「支援内容と費用の関係が見える」こと自体が、同社にとって大きな安心材料となったといいます。
これらの点を総合的に評価した結果、同社はクオンツを運用保守のパートナーとして選定しました。
ブラックボックス化した環境を前提に、システムを止めることなく引き継ぎ、段階的に立て直していく――。
その現実的な道筋が描かれていたことが、最終的な決め手となりました。
次に、実際のプロジェクト概要と、クオンツがどのように支援を進めていったのかをご紹介します。
【クオンツの支援内容】運用・保守を起点とした、段階的な立て直し
クオンツは本プロジェクトにおいて、新規構築や大規模な刷新を前提とせず、
既存のSalesforce環境を活かしながら、運用・保守フェーズから立て直すことを基本方針としました。
ブラックボックス化した環境を一度に変えようとするのではなく、現状を正しく理解し、業務への影響を抑えながら改善を積み重ねていく進め方を採っています。
まずは、本プロジェクトの概要をご紹介します。
プロジェクト概要
対象システム:大手広告メディア事業者 様の「人事評価システム」
背景・課題:運用保守フェーズでの品質低下とブラックボックス化により、安定運用とコスト妥当性の両立が課題となっていた。
導入ソリューション:Salesforce Platform(Apex/Visualforce)
引き継ぎ期間:2ヶ月
支援期間 :8年6か月(2017年5月~ ※現在も継続中)
支援工数:毎月20時間
支援内容:
既存システム仕様の解析 / 仕様ドキュメントの作成 / データ運用・保守作業
機能拡張時の要件定義 / 設計・構築(Salesforceカスタム開発)
上記のプロジェクト概要を前提に、クオンツは運用・保守を起点とした支援を進めました。
次に、具体的な支援内容についてご紹介します。
現行環境の解析と仕様の可視化
支援開始にあたり、最初に取り組んだのが、既存のSalesforce環境を正確に把握することでした。
要件定義書や設計書が残っていない状況を前提に、Salesforceの設定内容やApex/Visualforceで実装された処理を一つひとつ確認しながら、
システム全体の構成や仕様を整理していきました。
あわせて、どの業務でどの機能が使われているのか、運用上の判断がどこで行われているのかといった点もヒアリングを通じて明らかにし、属人的になっていた情報をドキュメントとして可視化。
これにより、関係者間で共通認識を持ったうえで運用・改善を進められる土台を整えました。
運用・保守体制の再構築と安定化対応
現行環境の把握と並行して、日常的な運用・保守対応の立て直しにも着手しました。
障害や問い合わせへの対応については、影響範囲や緊急度を整理したうえで対応方針を明確化し、場当たり的な対応に陥らない運用・保守体制を構築しています。
定例のコミュニケーションを通じて、現場で発生している課題や不安点を継続的に共有できるようにしたことで、
「どこに相談すればよいか分からない」という状態を解消し、安定した運用を維持しながら改善に取り組める環境を整えました。
特にクオンツでは、特定の担当者に依存した対応を行うのではなく、
ドキュメントをベースにした情報共有と引き継ぎを前提とした運用体制を構築しています。
対応履歴や仕様、運用上の判断ポイントを整理・共有することで、担当者が変更となった場合でも、同じ品質で運用・保守を継続できる体制を整えました。
こうした体制により、旧ベンダー時代に課題となっていた
「担当者変更のたびに品質が不安定になる」という状況は解消されつつあり、安定した運用を継続できる状態につながっています。
体制を基盤とした、段階的かつ継続的な改善
こうして整えた運用・保守体制を基盤として、
クオンツは優先度を見極めながら、段階的に改善を進めていきました。
人事評価という業務特性を踏まえ、評価期間などシステムを止められないタイミングでは
大きな変更を避け、影響の少ない領域から着実に対応しています。
この進め方により、運用を止めることなく小さな改善を積み重ねることが可能となり、
改善が一過性で終わらず、継続的に回り続ける状態を実現しました。
安定した運用体制のもとで改善を進められるようになったことで、
将来的な機能拡張や見直しについても、現実的な選択肢として検討できる状態が整っています。
【成果】システム運用・保守の属人化を解消し、安定した運用体制を確立
クオンツによる運用・保守支援を通じて、同社ではSalesforce人事評価システムの運用体制に、明確な変化が生まれました。
特定の担当者に依存した運用から、体制として支える運用へと移行したことで、
これまで課題となっていた不安定さが徐々に解消されていきました。
担当者変更が発生しても、運用品質が揺らがない状態へ
旧ベンダー体制では、担当者変更のたびに障害やトラブルが発生し、
運用品質が不安定になることが大きな課題となっていました。
クオンツ支援後は、ドキュメントを基盤とした情報共有と引き継ぎが定着したことで、
担当者が変更となった場合でも、運用・保守の品質が大きく揺らぐことはなくなっています。
属人化によるリスクが抑えられたことで、
人事部門や運用担当者にとっても、
「誰が担当になるか」に左右されず、安心してシステムを任せられる状態が整いました。
障害対応の安定化と、現場の不安解消
運用・保守体制の再構築により、障害や問い合わせへの対応も安定しました。
影響範囲や緊急度を踏まえた対応方針が明確になったことで、
突発的なトラブルに対しても、一貫した判断のもとで対応できるようになっています。
また、定例のコミュニケーションを通じて課題や状況を共有できるようになったことで、
現場からは「どこに相談すればよいか分からない」といった不安の声も減少。
日常的な運用における心理的な負担が軽減されました。
品質とコストのバランスに対する納得感の向上
運用・保守フェーズに即した工数設計と、支援内容の可視化により、
品質とコストのバランスに対する社内の納得感も高まりました。
「支援内容と費用の関係が見える」状態が整ったことで、
運用・保守に対する投資判断や社内説明が行いやすくなったといいます。
短期的なトラブル対応に追われる状況から脱し、
安定運用を前提に改善を継続できる環境が整いました。
これらの取り組みにより、Salesforce人事評価システムは、単に稼働している状態から、安心して使い続けられる運用基盤へと進化しました。
運用面の不安が解消されたことで、同社は人事評価業務そのものに、より注力できる環境を整えています。
お客様からいただいたコメント
お客様よりいただいた実際のコメントをご紹介します。

マネージャー様
人事評価は全社員に影響するため、以前は評価期間中のシステム安定性に不安を感じていました。
ドキュメントを基にした運用体制が整ったことで、担当者変更があっても品質が安定し、安心して任せられています。
今は、人事として本来注力すべき制度や運用の改善に集中できています。

システム運用
ご担当者様
以前はベンダーの担当者が変わるたびに引き継ぎやトラブルが発生していました。
クオンツさんの支援で、仕様や対応履歴が整理され、ドキュメントベースの運用が定着しました。
担当者変更に左右されない、安定した運用体制が整ったと感じています。
【今後の展望】安定した運用基盤を土台に、さらなる活用へ
今回の取り組みにより、Salesforce人事評価システムは、安定した運用を継続できる基盤としての土台が整いました。
担当者に依存しない運用体制が確立されたことで、今後はシステムの安定性を前提に、より前向きな活用を検討できる段階に進んでいます。
今後は、人事評価業務の効率化にとどまらず、評価データの活用や、関連する人事業務との連携など、Salesforceを人事領域全体の基盤として活用していくことを視野に入れています。
日々の運用を止めることなく改善を積み重ねていくことで、事業の成長を支える人事基盤へと進化させていく方針です。
同社は引き続きクオンツをパートナーとして、運用・保守を起点とした継続的な改善に取り組みながら、
Salesforceを安心して使い続けられる基盤として育てていく考えです。
Salesforceの開発なら当社におまかせください!導入や運用保守までトータルでサポートいたします。
コンサルティング

お客様のビジネスプロセスを分析し、Salesforceを活用する最適な構成をご提案いたします。
開発

認定デベロッパー資格を有するエンジニアが、カスタマイズやお客様独自のアプリケーションの開発を行います。

導入・移行支援

既存システム資産からのデータ移行、利用ユーザ部門様のトレーニングを実施いたします。
運用支援

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